登山靴の選択について(ポリウレタンミッドソールの経年劣化による破損を考える)

 これまで使用してきたSIRIOの登山靴が浸水し始め、いよいよ買い替えの時期が来ました。この靴は、1997年3月に27,000円で買ったものです。買う時に本当は他にもっと足になじむ靴があったのですが、靴底が突然剥がれる危険があるのでSIRIOの方が安心ですよ!との店員さんのアドバイスがあり、結局、この靴にしました。当初は、靴が深く、なかなか慣れませんでしたが、慣れてしまえば、結構良い靴だと思っていました。
 これまでに百回位の山行に使用したと思います。山行後の手入れも十分にしていました。ヌバックレザーなので店に薦められたドイツ製の防水・栄養スプレーを毎回使用していましたが、スプレー代が高くつくので途中から防水クリームに変えました。ヌバックレザーの風合いは無くなりましたが、防水クリームでも十分機能は発揮できたようです。
 ところが、2000年頃から登山中、長時間湿った状態の中を歩くと靴先から水が浸入するようになりました。更に2001年頃から靴底の靴本体への接着部分が少しずつめくれて来ました。販売店で話を聞くと『この手の靴は2年を過ぎると防水性が劣化することがある。靴底を張り替えても防水性は回復しないでしょう。』との事。一応、めくれた部分を無料で修理してもらいましたが、最近、再びめくれていました。そして、先日の雪の中の英彦山を約6時間歩いた後、靴の中はじっとりと濡れていました。もう使用の限界のようです。約6年間良く働いてくれたとも思う反面、値段の割にはこんなもんなの?という気がします。もうひとつ気に入らないのが、SIRIO始め多くのメーカーが登山靴に採用しているポリウレタンミッドソールは、経年劣化による破損が起きており、一般的には製造後5年程度が寿命だというではありませんか。

 本日、登山用品店で(社)日本スポーツ用品工業協会/日本スポーツ用品輸入協会/登山靴・トレッキングブーツ品質対策委員会の『トレッキングブーツをご使用の皆様へお知らせとお願い』と言う文書をもらってきました。
 要旨は、ポリウレタンミッドソールを採用した靴は経年劣化し、突然、靴底がはがれたり、破損することがある。一般的には製造後5年程度が寿命だが、使用状況によっては、寿命が短くなる。登山前には靴の安全確認を行い、万一、山行中に破損等が生じた場合には、紐やテープで応急処置をして速やかに下山すること。以上が、大体の要旨で裏面には登山靴メーカーや輸入業者25社の連絡先が記載してありました。

 私は上記協会、メーカー及び販売店の対処は非常に問題があると考えます。
 プラスチックブーツでも経年劣化の問題が指摘されたことがありますが、冬山だけでなく、より一般的な人間が、山と言う非日常的な環境の中で使用する最も重要な装備である靴が、突然、破損する可能性があるなど、許されることでしょうか?これは、商品としては完全な不良品であると思います。また、販売店の態度も非常に問題であると思います。SIRIOの靴を購入したとき、店員は他の靴が突然、破損する可能性があるのでSIRIOの靴を薦めましたが、本来、そのような危険性のある商品を店頭に置くこと自体が間違っているのではないでしょうか。更にこれだけ、ポリウレタンミッドソールの危険性を表示しておきながら、店頭に置いてある靴の大半がポリウレタンミッドソールの靴であるのはどういう訳でしょうか?
 儲かれば、客の安全性はどうでも良いのでしょうか?

 私は、昨年からそろそろ靴を買い換える必要があると考え、雑誌に掲載されている靴の宣伝を見てきました。
 ・選択の基準は、欠陥商品としか考えられないポリウレタンミッドソールでないこと。
 ・摩耗損耗等の修理が可能で、メーカーが修理に応じてくれること。
 ・SIRIOの靴程度の軽さと履き心地が得られること。
以上3点で探したところ、東京の登山靴製造メーカーのゴローが目に留まりました。
東京まで靴を買いに行くことは出来ないので、電話だけしてみたところ、通信販売が出来るとの事で資料を送ってもらいました。
 カタログを見ると気に入った靴があったので、結局、靴を注文しました。その方法は、送付された『足型の取り方』に従って、足型を取り、その他の条件を記入し、最終的には、電話で担当の方と相談してサイズを決めました。非常に不安な面もありましたが、どうも現在の登山用品店の態度は許せないので、ゴローのような店に頑張ってもらいたいとの気持ちが強く、お任せしました。
 送られて来た靴は、きれいで職人さんの作った靴と言う感じです。心配したサイズは特に問題なさそうですが、現在、膝痛で山行出来ないのでまだ、しっかりと確認できていません。早く山に履いていきたい気分です。
 因みに商品名はブーティエルで29,000円でした。ちょっと高いかもしれませんが、長い目で考えれば、安全も考慮して安い買い物ではないかと考えています。
 ブーティエルの使用状況については、また、御報告していきたいと思います。(2003年1月26日 記)

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